数百年かけて考えられた日本人のための日本家屋 〜軒・庇の役割〜

日本家屋というとどんなイメージがありますか?

昔の家?

古い?

モダンじゃない?

年寄りの住む家?

若い人にとっては、あまりいいイメージがないかもしれませんね。

 

ひとつ特徴をあげると、

大きく張り出した軒(のき)や庇(ひさし)

が思い浮かぶでしょうか。

屋根から出っ張った部分ですね。

 

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最近は、

特に都心や住宅地の狭小地に建っている家や

高層マンションなんかは

この軒がすごーく短いか、

もしくは全くない家もよく見かけます。

 

土地が狭いので、

できるだけ家を大きく、

床面積を大きくとろうとすると

張り出した軒が邪魔になってくるわけですね。

 

そうすると、

この軒を短くするか

もしくは無くしてしまおう

という発想になるわけです。

 

そうすると、

箱形のようなキューブ状の家や

ちょっと奇抜なカタチの家ができあがり

なんとなくモダンな家になり

若い人にはそんなカタチの方がウケが良かったりもしますよね。

 

でもちょっと待って下さい。

ず〜っと昔からある日本の家には

数百年の間も変わらずに

どうしてこの長い軒があったのでしょうか?

 

こたえはコレ。

 

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オレンジ色が夏の太陽。

夏の日射し。

 

黄色が冬の太陽。

冬の日射し。

 

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夏の太陽は高いところにあります。

そうすると、

この長〜い軒が

暑〜い日射しをカットしてくれて、

家の中にこのアツ〜い日射しを入れないようにしてくれます。

 

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中まで届いてないですよね。

 

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夏でも家の中はすこしひんやりとした空気になり、

外から家の中に入ると

ホッとした気持ちになります。

 

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風が抜けると

ホントに気持ちがいいんです。

 

反対に冬は太陽が低いところにやってきます。

 

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そうすると、今度は長〜い軒も

日射しを邪魔せずに

家の奥まで日射しをとりこんでくれる

ってわけです。

 

賢いですよね〜。

 

ボクはこの長く張り出した軒のデザインが大好きです。

わが家は特にシャープに見えるでしょ?

しかもこの機能を知っちゃうと

より機能美が際立ってきます。

 

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日本にはハッキリとした四季があります。

言い換えると

暑いし、寒いし、湿気がすごいんです。

オールマイティな家を作るのって難しいんですよ。

 

そんな変化の激しい環境の日本に

数百年も住んでいる

日本人が考え出した

日本のための家。

 

日本人をナメちゃいけません。

世界一、繊細な家を作り出す職人の技術と知恵。

その神業。

それをそう簡単には覆せないですよね〜。

 

 

 

【土にも人にもやさしい自然素材の家に暮らす。次の記事へ】

「住む。」にわが家が掲載されています。
http://www.engawashoten.com/?p=1107

 

 

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