「幸運を呼ぶもの」といえばクローバーに
馬蹄(ばてい)やフクロウなどが代表的ですが
アメリカでは「6本指の猫」も含まれます。
指が多いので優秀なネズミ捕りのハンターとして
船乗りたちから大変重宝されてたそうです。
そしてこの6本指の猫を世界的に有名にしたのが
アメリカの文豪・ヘミングウェイ。
今回は6本指の猫と
ヘミングウェイにまつわるお話です。
■愛猫家・ヘミングウェイ
引用元:http://mysteryreadersinc.blogspot.jp
「老人と海」や「武器よさらば」など
ベストセラーを数多く手掛けたヘミングウェイは
大の猫好きとしても知られています。
キューバに住んでいたときには
一番多いときで68匹の猫を飼い
4階建てのうち2階部分を猫部屋にしていました。
6本指の猫との出会いは知り合いの船長から
「スノーボール」という猫を譲り受けたことがきっかけでした。
ヘミングウェイは6本の指をもつ猫を「幸せを運ぶ猫」と信じ
たいそう可愛がったそうです。
引用元:http://www.canadiantraveller.com
晩年を過ごした住居(ヘミングウェイ博物館)には
スノーボールの子孫が50匹以上暮らしており
そのうちの約半数が6本指を受け継いでいます。
ちなみにヘミングウェイは
チャップリンやヘップバーンなど
著名人の名前を付けることが多く
今でもその風習が守られているようです。
■日本では少ない「多指症」
引用元:http://apr.org/post/hemingway-cats#stream/0
先天的に指の数が多いことを
「多指症(たししょう)」といいます。
場所によって発症率が異なるため
日本における発症例は少ないですが
アメリカ北東部やグレートブリテン島で多く見られます。
主な原因としては近親交配が考えられています。
優性遺伝のためどちらかの親が多指症のとき
子猫も発症する可能性が高くなります。
一見すると不自由そうな気もしますが
日常生活に支障がないことがほとんどだそうです。
ただ爪が研ぎにくい場合は巻爪予防のためにも
定期的に爪切りが必要になります。
■受け継がれるヘミングウェイの意志
ヘミングウェイ博物館は米農務省に
立ち退きを迫られていた過去があります。
猫が増えすぎたことによる近隣からのクレームも
その引き金になったのでしょう。
しかし「歴史的・社会的に意義があり観光面でも重要」
という市当局の見解により例外として認められ
繁殖に関しても一部の猫以外は
避妊・去勢手術することで問題をクリアしています。
2017年9月に大型ハリケーン・イルマ直撃したときは
すべての猫を屋内に避難させて
博物館スタッフもその場にとどまりました。
その甲斐もあって猫たち全員ケガもなく
無事に過ごすことができたそうです。
ヘミングウェイの愛猫たちに対する想いは
スタッフの手によって今もなお守られているのです。